1/25『Nipponの画』報告

『Nippon学』第3回は『Nipponの画』、日本画を知る体験講座でした。
講師を勤めて下さったのは、菊川にお住まいの日本画家・渡辺嘉代さんです。
以前、当NPOの井村代表のお宅兼ギャラリーで、嘉代さん絵を見せていただいたのがきっかけで、「日本画」とは何だろう?日本人が描いたものを指すのか、日本を題材に描いたものなのか、それすらも分らず・・・。多くの日本人に馴染みのない「日本画」の世界を教えていただく事になりました。
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今回は残念ながら欠席が多く、受講生3名・スタッフ2名、そこに嘉代さんのご主人が助っ人に加わって頂き少人数での開催になりました。会場はたまりーな・工作室です。

先ずは、嘉代さんが用意して下さった資料をもとに日本画の歴史を学びます。
日本に絵が入ってきたのは飛鳥時代が始まりとされています。仏教の伝来と共に中国から絵師や技法が渡来しました。飛鳥・奈良時代・平安時代・鎌倉…と中国からの文化の流入に影響されながら日本独特の絵が確立されて来ました。主題も仏教画・美しい絵巻・将軍像・金銀を用いたもの…と変化しながら、千数百年の歴史をもつ世界的にも珍しい美術となりました。明治時代になり、西洋から油彩画が伝わり「洋画」と呼ばれたのに対し、これまで伝わってきた日本独自の技法や様式のものを「日本画」と呼び始めました。その定義は、板や紙や絹または麻に、筆を用いて、墨や顔料を使い膠(にかわ)で接着させたもの、これが日本画です。
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キャンバスになる和紙や絹、絵の具になる天然鉱物の顔料、膠、筆の数々も見せて頂きました。

東京芸術大学大学院で保存修復技術研究をされていた嘉代さんは、日本画に対する思いをこう仰います。「千数百年も前に描かれた絵が風化に耐え現存するのですから、その技術が優れているのは確かです。本来の日本画の画材は全て天然の物を使っているので、材料代も安くはありません。最近ではカルチャースクールなどの日本画人気で、手軽な材料が出回るようになり、本来の画材を作る技術の伝承も危うくなっています。しかし、そのような安易な画材や保存料を使った作品が千年先まで残るか誰にも分りません。私達はそこに危険を感じています。手間をかけてでも本来の技法を受け継いでゆく使命を感じています。」

日本画とは何かがつかめたところで、‘ホンモノの’画材を使わせていただきましょう。
今回は、スケッチはしません!ご安心下さい。『暈繝彩色(うんげんさいしき)』に挑戦です。
仏教寺院などの柱や組物で見掛ける事があるカラフルな絵で、東洋では古くから用いられた彩色法です。ぼかしを使わず、同系色を2〜3段または5〜6段重ねる事により、濃淡で奥行きや凹凸を現しています。仏像の足元にある「漣弁(れんべん・蓮の花びら)」には、平安時代に描かれた暈繝彩色が今も残り、一枚ずつ異なる極楽浄土を表す図柄は、近年になり解読や復元がされているそうです。その極々一部を体験させて頂きます。
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まず、色紙に図柄を写したら、白えのぐ「胡粉(ごふん)」作ります。牡蠣の貝殻をゴリゴリと砕き粉状にし、そこに膠を混ぜて耳たぶの硬さの団子を作り、それを水で丁寧に解いて出来上がり。それだけでおよそ30分かかりますので、根気の要る作業です。白えのぐを図柄の内側に塗り、乾くのを待ちながら、ここで昼食です。
持参したお弁当を広げ、差し入れの明太子とトン汁、デザートまで付きました。

午後は、赤えのぐと胡粉をまぜた桃色・黄色・薄緑を嘉代さんが作って下さり、それを内側に塗っては乾かしの連続で、色を重ねて行きます。絵の具を混ぜないのも日本画の特徴で、白皿上の絵の具は乾燥が速く、比重の重い顔料は直ぐに沈殿します。筆に取るには常に混ぜてから含ませ、広い箇所はたっぷりと取り大きく動かし、細い線は大らかな気持ちで思い切りよく。筆も一色ごとに丁寧に洗います。
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午後のコーヒータイムを挟んで、最後は高価とされる「群青」と墨を入れて絵を引き締めます。
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息を止め・・・、ため息をつき・・・、筆先に集中し・・・、午後4時に完成しました。
最後は嘉代さんのご主人が参加者の名前をデザインして下さった落款を押して出来上がり。
小さな色紙が華やかな日本画になりました。艶のないマットな仕上がりが、日本的な気がします。
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講座が終わり、改めて嘉代さんの作品を見せていただくと、創作の大変さが少し想像できます。
世界の美術家に影響を与えてきた日本画です。身近な美術館でも足を運び、皆さんにも日本人として日本の宝を知る事をお薦めします。
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posted by スローライフ掛川 at 2009/01/29 07:52 | Comment(2) | TrackBack(0) | アクティビティプログラム>NIPPON学
この記事へのコメント
お世話になりました。

色を捏ね・・
筆先に神経を注ぎ・・
目に深く色を焼き付ける・・

凝縮した、いい時間でした。
嘉代先生の「いいですよ〜」に救われました!
Posted by yoshie at 2009年02月03日 01:29
中国から職人が日本にやってきた時代に想いを馳せたり
鉱物や植物から顔料を採取する様子を想像したり・・・
思った以上に幅広く,そして奥が深い講座になりました。

本物に触れ,本物を使うという貴重な体験ができ,
yoshieさんがおっしゃる通り「凝縮した,いい時間」でした。
ねー。
Posted by さげ巻 at 2009年02月06日 17:23
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